bochibochitaimのブログ

星空のような日常のひとコマを。

足首を骨折しました⑰

ついに、この時が来た!通院日。呼ばれる順番を自分の番号と掲示板を交互に見ながら、まだかまだかと待つ。毎回ドキドキする。『今日こそ松葉杖なしで良いよ。』と言ってもらえる時を。

順番が来た。掲示板と自分の持っている順番が合う。ノックをして挨拶をし、座る。医師はいくつか角度の違うレントゲン写真をじっと見て、『うーん、良いかな、そろそろ。』と言ってくれた。しかし、その言葉を聞き不安が襲ってきた。『と言う事は松葉杖無しでこれから歩くという事?』頭をよぎった私の表情を見て『痛みが無ければ松葉杖は必要ないし、急に松葉杖無しだと不安だろうから、片松葉でもいいですよ。』その言葉を聞いて安心した。『やったー!ついに松葉杖卒業!』心の中で叫んでしまった。診療室を出る私の心はルンルン。そして松葉杖を少しずつ離していった。ヨチヨチ歩きの赤ちゃんが、少しずつ立って歩けるようになっていく喜びはこんな感じなのだろうか。

夕暮れになり、いつもの最終便のバスで帰る。この日が最後になるかもしれないと思うと、胸が熱くなった。バスはほぼ時間通りに来た。バスに乗り込み、いつものように回数券を運転手さんに渡す。今まで暖かく毎日接してくださった周りの方々の記憶が走馬灯のように駆け巡る。そんなことを思いながら座っていると、あっという間にバス停に着いてしまった。『気をつけて、ゆっくり降りて下さいね。』いつも通り、運転手さんはそう声をかけてくれる。『はい、お世話様です。ありがとうございました。』そう言って、バスを降りた。

明日からは、バスには乗らないかもしれない。あのお婆さんにも会えなくなる。松葉杖無しで歩けるようになった嬉しさとは逆に、なんだか心に寂しさが残った。